Monday, May 19, 2008

-JavaOne 2007:Javaとモバイル戦略-               TF#004 Archive 5/10/2007

Sun Microsystems恒例のJavaの祭典「JavaOne 2007」がサンフランシスコ・モスコーン・センタで開催(5/8-11)された。今年のテーマは「開かれた可能性-Open Possibilities」。

Sunにとって、その核となる戦略はオープンソースである。Sun2005年始めからSolaris OSのオープンソース化を手がけ、その後、SPARCチップのオープン化、そしてJavaのオープンソース化と段階的に取り組んできた。今回のJavaOneはその総仕上げである。

JavaOneの目玉は、初日のトップを飾って朝8時半から行われる2時間コースのジェネラル・セッションだ。チーフ・リサーチャでVPJohn Gage氏が昨年に引き続きホスト役を務め、その後ソフトウェア部門担当EVPRich Green氏が引き継いだ。彼は前任のJohn Loiaconoの退社後、元いたSun1年前に戻り、オープンソース化戦略にとって重要なソフトウェア部門の責任者となった。壇上に登場したRich Green氏はTシャツにジーンズ姿。

 氏はオープンソースのJ2EEGlassFish」やJavaRuby on Rails対応「JRuby」などのロードマップについて説明した。GlassFishでは次世代の「Java Communication Server」をEricssonと共同開発中であること、「Realtime Java 2.0Java RTS)」はNASDAQからの支持を取り付け、両社のゲストを交えながら話を進めていく。


そして、参加者にとってクライマックスがきた。

Java SE向けの「OpenJDKJava Development Kits)」の発表だ。このJavaの開発キットのオープンソース化によって、世界中のデベロッパが待ち望んでいたJavaのほぼ全てがオープンソース化されたことになる。ライセンスは、GPLv2だ。そしてGreen氏は壇上からJavaコミュニティ向けにオープンソース化が終わったことを知らせるメール書き、大喝采を浴びた。


次の発表は「JavaFX」。

JavaFXJavaの適用範囲を今までのサーバやデスクトップからコンスーマ市場の多様なデバイスに展開するプロダクト・ファミリーだ。第1弾として、PDAや携帯電話などモバイル用コンテンツ作成の「JavaFX Script」とそのプラットフォーム「JavaFX Mobile」が発表された。この発表に先立って412日、SunSavaJe Technologiesから同社のモバイル・プラットフォーム「SavaJe Mobile Platform」の資産買収をしており、これがベースとなっていることは間違いない。ゲストのYahoo!からもデスクトップ用のコンテンツを転用する時代は終わり、モバイル専用コンテンツの重要性、そのための新しいScriptやリッチ・グラフィックスを簡単に作成できるツールの登場は時代を変えると歓迎表明があった。

時代はブラウザからガジェットやアニメ、ビデオなど多様なリッチ・コンテンツに向けて動き出している。JavaFXは、エンタープライズだけでなく、コンスーマ分野でもJavaが主役になることを狙っている。Green氏はまた、セッションの途中でSony PicturesをゲストにBlue-ray Discへの対応など多面的なSunの戦略を次々に紹介した。そして最後に国連のDr. Djibril Diallo氏(New York Office of Sport for Development and Peace)をゲストに、CEOJonathan Schwarz氏と会長のScott McNealy氏も壇上に上がって、Sunの社会貢献や人類共通の課題に取り組む姿勢を示して終了となった。

Javaが登場して今年で12年。

Rich Green氏の活躍と豊富な話題でジェネラル・セッションは大賑わいとなった。

その後、Scott McNealy氏から小規模なメンバーで直接話を聞く機会があった。

冒頭、「今日のRichの姿と活躍はSteve Jobsのようだった」と冗談を言い、自分も会社のロゴの入った薄手のダンガリーシャツにジーンズ姿、そしてJonathon Schwarz氏もスポーツ・シャツにジャケットとジーンズ、「会社も相当オープン化した」とやや感慨深げな感想を述べた。Sunのカルチャーについて質問があると、Sunでは役員の駐車スペースも食堂もなく全てが平等、マネージメントも上から下まで1人に12-14人程度が報告するフラットな組織を心がけ、「自分は、このところ週4日は出張に出かけて色々な取引先を回り、1日だけは本社に出て、会社は殆どJonathanにまかせっきり」、その時に情報交換するように心がけているとのことだ。

そして、自分の経営の最大のミスは、インテル版Solarisだったと述懐する。

今日のコモディタイズ化された世界の到来は判っていた。だから10年以上前に「Solaris x86」を開発したがパートナー選定などの戦略ミスで上手く機能しなかった。Jonathanは自分より、はるかにソフトウェアに明るい。彼なら上手くやれる。ゴルフのハンデは最高2、今は4を維持するスポーツマンのMcNealy氏とSchwarz氏は対象的だ。氏はFortune500社のCEOの中で、多分、ひとりだけブログを書く。それにポニーテール姿のCEOも彼だけだ。クッキングが趣味だと聞く。この2人の性格の違いが経営に現れ、会社も製品もオープン化が進んだ。経営の実際はSchwarz氏とRich Green氏が連携し、McNealy氏は対外活動に専念する。新しいSunの時代が始まっているようだ。

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